図解 弦楽器用語辞典
先日、「図解 弦楽器用語辞典」(ジョー・ノルドリリョ著)を図書館で借りました。170ページ程度の辞典ですが弦楽器で知っておきたい用語の解説がしてあり、とても良い本です。
そこにはなんと鈴木先生が載っていました。
以下、長くなりますが、内容を掲載します。(改行は近澤による)
【スズキ・メソード】
環境を整えることで、幼児が母国語を学ぶのと同じ方法で耳から音楽を学ぶことができる、という信念にもとづく、幼児指導法。
【鈴木鎮一】
日本の指導者、人道主義者。スズキ・メソードの創始者で、彼の幼児向け才能教育は、音楽の指導法に革命的変化をもたらした。
ヴァイオリン工場の息子として生まれながらも、子どもの頃は楽器を演奏せず、17歳のときにはじめてレコードを聴いて独学でヴァイオリンを弾くようになった。ベルリンに留学し、ヨアヒムの弟子クリングラーに師事し、アマチュアのヴァイオリン奏者でもあったアルベルト・アインシュタイン博士と友好関係を築いた。
このような環境から、鈴木は、音楽が言語であれば、子どもが母国語を耳から覚えるように、小さい子供でも楽器を演奏できるようになると確信を持つようになった。ヴァイオリンのレッスンは10歳頃から始めるべきだとする慣習を無視し、鈴木は2歳児に耳から聴いて演奏することを教え始め、目覚ましい成果を上げた。
スズキ・メソードの根底にあるのは、「人間性がいちばん大切」とする人道主義的な考えである。鈴木には、小さい頃から愛と支えのある環境でたくさんの音楽を聞かせて楽器を演奏することで、子どもは温和な性格になって思いやりを持てるようになり、理解力のある世界平和に貢献できる人間に育つ、という信念があった。また、才能のある子どもだけが音楽家になれるのではなく、小さい頃から音楽に触れ、愛情豊かな、子どもの支えとなる環境で育つことで、「才能」は得られるのだと考えた。
スズキ・メソードでは、個人レッスンと週1度(近澤注:月1度の間違い)のグループレッスンがあり、保護者も積極的に参加する。鈴木の哲学の一環として、10冊のレベルに応じたヴァイオリン教本があり、《キラキラ星変奏曲》から始め、バロックのレパートリーを多数取り上げて、モーツァルトの2曲の協奏曲で締めくくる。
スズキ・メソードはヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、ピアノほか多くの楽器にも拡大され、それぞれの楽器に同じような教本が出版されている。
スズキ・メソードには賛否両論あるが、音楽指導法として国試的に認められつつある。
鈴木の教育法で小さい頃から楽器を習い始めた最初の世代には、ヒラリー・ハーン、レイチェル・バートン・パイン、リーラ・ジョセフォウィッツ、サラ・チャン、ニコラ・ベネデッティのほか、ジャズヴァイオリニストのレジーナ・カーター、チェリストのウェンディ・ワーナーらの名演奏家がいる。
読んでみて驚くのは、かなり正確に鈴木先生の哲学、信念が文章化されていることです。
「スズキ・メソードの根底にあるのは、・・・」の段落は音楽辞典として、重要な記載であると言えます。
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